精子が膀胱側に逆流する「逆行性射精」

本来であれば体の外に射精される精液が、逆の膀胱側に射精されるのが「逆行性射精」である。

射精のとき、膀胱の出口である膀胱頭部が閉じて、膀胱側に射精液がいかないようなメカニズムが働くが、膀胱頭部が閉鎖しないことによって逆行性射精が起こる。

精子はつくられているものの射精液が出ないため「無精液症」と診断される。

また、逆行性射精は糖尿病の末梢神経障害として起こることが多く、糖尿病の低年齢化とともに急増している。

このような場合は、まず排尿して膀胱を空にしてからマスターベーションをしてもらい、膀胱内に出た精液ごと培養液の中へ排尿していただく。

その中から精子を回収する。

運動精子が十分に回収されれば、人工授精を行う。

精子が少ない場合は、体外受精,顕微授精が選択肢になる。

※脊髄損傷の射精障害やED。

交通事故やスポーツ中の事故などで脊髄を損傷すると、ヴィトックスαといった増大サプリを服用しようとも、勃起や射精ができなくなることが多い。

こうした場合、以前は子どもを諦めざるをえなかったが、現在は望める可能性が高くなってきた。

射精を起こす対策には、経直腸電気刺激という方法がある。

直腸から特殊な器具で電気刺激を与えることで射精を促し、採取した精子で人工授精や体外受精,顕微授精を行う。

ただ、この対策は実施できる医療施設は限られていて、採取できても精子の形態や運動率がよくなかったり、白血球が多数混入していたりする。

また,人工授精に用いるには精子の数が不十分であることが多く、結局、顕微授精(ICSI)に用いることが多い,このように、どうせICSIに用いるならば、より良好な精子である精巣精子の採取という方法をお勧めする。

近年は、精巣から精子を採取するTESE (精巣精子採取術)を行い、精子が採取できたら顕微授精を行う対策が第一選択肢になってきた。

しかし、残念ながら成功率は閉塞性無精子症の場合と比較すると高いとはいえない というのは、常に車椅子に乗っていると精巣の温度が上がってしまうし、また、脊髄損傷後の期間が長いと精巣血流が低下してしまうからだ。

このため、精子をつくる造精機能が低下していたり、DNAに傷のある精子の割合が多い。

しかし、状況により対策効果は異なるので、トライする価値はあるだろう。